本記事では、私が英語論文やレポートを書くにあたってとても参考になった本を紹介します.
タイトルは「理科系のための英文作法ー文章をなめらかにつなぐ四つの法則」
理科系のための英文作法―文章をなめらかにつなぐ四つの法則 (中公新書)
- 作者: 杉原厚吉
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1994/11
- メディア: 新書
- 購入: 22人 クリック: 241回
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この本は約170ページのボリュームとしては小さい本ですが,その中に読みやすい英文を書くためのエッセンスが凝縮されています.
さらに,そのエッセンス(テクニック)は決して難しいものではなく,すぐに実践できるものばかりなので,特に初めて英語論文・レポートを作成する方におすすめです.
この本の中で,私がもっとも参考になった部分は・・・
この本の中で,私がもっとも参考になった部分は,
本書の2章に書かれている「話の道筋に道標を」です.
この章では複数の文章をつなぐための接続詞と副詞・副詞句を取り上げています.
霧の中を進む読者に接続詞と副詞を使って道標を示してあげる
読者の作業(文章を読み進むこと)は霧の中で,書き手の作った話の道筋を一歩一歩たどる作業である
とこの本の筆者は言う.
まさにその通りで,書き手と違い,読者は背景も結論もしらない状態から文章を読み進めていく.その読者が安心して文章を読めるように,道標を示してあげることが重要だと言う.
具体的には順接,逆説などの接続詞・副詞をしっかり付けてあげることで読者に安心して文章を読み進めてもらうことを解説している.
想像してほしいのだが,もし接続詞が無く,単文が並んだだけの文章だとしたら,読者はまず各文を理解し,それが前の文の補足説明なのか,新しい話題への入り口の文なのか,結論を述べた文なのかを把握しなければ文章全体を理解することができない.
しかし,書き手が接続詞・副詞を道標として使って各文同士の関係を示してあげれば読者の作業量を減らすことができるし,なによりミスリードを防いで正確に内容を伝えることができる.
科学論文では一つの結論に向かって文章が進んでいくので読者が迷うことはあってはならない.
副詞のほうが接続詞よりも 語彙が豊かである
本書では接続詞よりも副詞・副詞句を使った文章の繋ぎ方をより多く解説している.
その理由は,
- 副詞・副詞句のほうがより広い範囲を修飾することができるから
- 副詞・副詞句のほうが語彙が豊かだから
である.
文章全体を修飾する副詞・副詞句
まず,この本で紹介されている接続詞で繋がれた以下の文章を見てほしい
Since cheese is made from milk, it contains much protein.
文章自体,何の問題もないのだが,この本の筆者は
「接続詞は二つの文章の間だけの道標であり,非常に局所的な道標である」
と述べている.
一方,副詞句を使うと,
Cheese is made from milk. It consequently contains much protein.
このように表現することができる.
consequently(=その結果として)と書くと,例えばCheese is made from milk.の前に他のチーズやその製造方法に関する説明があったとき,それらも全て含めて,結果として,チーズにはプロテインがたくさん含まれている,ということになる.
さらに,副詞句を使って違う表現をしてみると
Cheese contains much protain because of the following reason.
because of the following reason(=理由は以下の通りである)と書くことで,理由をいくつも書くことができる.
つまり,直前直後の文章だけでなく,より広い範囲と繋がることができるのである.
豊かな語彙の副詞・副詞句
本の中では以下のような道標(接続詞と副詞・副詞句)を紹介している
- 帰結を表す道標(hence, thereforeなど)
- 理由を表す道標(because, in fact, for the reason thatなど)
- 逆説または対照を表す道標(but, though, howeverなど)
- etc
こういった道標が15種類も紹介されており,この部分は英文を書く際に辞書的に利用することができる.
詳しくは本書を購入し,読んでもらいたい.本記事で取り上げた章だけでも本当に参考になると思う.
理科系のための英文作法―文章をなめらかにつなぐ四つの法則 (中公新書)
- 作者: 杉原厚吉
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私が英語でテクニカルライティングするときに参考にしている本の一つです。
— 論文で使える英語表現 (@eng_paper_repo) April 21, 2020
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まとめ
科学論文の特徴である,一つの結論に向かって進んでいく文章において,読者が道に迷わないようにするために,道標を用いて文章を繋ぐテクニックを紹介した本を紹介した.この本はお世辞抜きに本当に参考になる.特に英語論文・レポート作成の初心者にはとても良い参考書だと思う.
また,これは感想だが,この道標の考え方は英語だけでなく日本語の文章を作成するときにも使えるので,読みやすい・なめらかな文章を作成するための本質的な考え方であると感じた.